ダイエットをしたことがある方なら、「痩せたいなら夕食は少なめにした方がいい」「夜遅くに食べると太る」と聞いたことがあると思います。
結論から言うと、夕食を軽くした方が体重管理に少し有利になる可能性はあります。ただし、その影響はかなり小さく、実際のダイエットでは「夜に食べるかどうか」よりも、1日の総摂取カロリー、食事内容、睡眠、運動習慣の方がはるかに重要です。
つまり、夜に食べたから即太るわけではありません。大切なのは、なぜ夕食を軽くすると痩せやすいと言われるのか、その理由を正しく理解することです。
なぜ「夜に食べると太る」と言われるのか
夜の食事が太りやすいと言われる理由の一つに、肥満傾向のある人ほど、遅い時間に多くのカロリーを摂取している傾向があることが挙げられます。
実際、肥満の人は普通体型の人と比べて、食事を取る時間が遅く、1日の摂取カロリーの多くが夜に偏りやすいという報告があります。普通体型の人は、比較的早い時間帯に1日の摂取カロリーの半分に到達している一方で、肥満傾向のある人はその時間が遅くなる傾向が見られています。
このような観察結果から、「夕食を軽くした方が痩せる」「夜遅くに食べると太る」と言われるようになりました。
ただし、ここで注意したいのは、これはあくまで相関であり、因果関係とは限らないという点です。夜に食べる人が太りやすいのか、それとも生活習慣が乱れている人ほど夜に多く食べやすいのかは、分けて考える必要があります。
夜の食事は食事誘発性熱産生が低くなりやすい
食事をすると、消化・吸収・代謝の過程でエネルギーが使われます。これを食事誘発性熱産生といいます。
研究では、同じカロリーを摂取した場合でも、朝食に多く食べた時と比べて、夕食に多く食べた時の方が食事誘発性熱産生が低くなる可能性が示されています。
例えば、朝食を多め、夕食を少なめにした場合と、朝食を少なめ、夕食を多めにした場合を比較すると、夜の方が食事による熱産生が低かったという結果があります。
ただし、実際の差をカロリーで見ると非常に小さく、1時間あたり数kcal程度の差に収まるケースもあります。そのため、理論上は朝に多く食べた方が有利でも、日常のダイエット結果を大きく左右するほどではないと考えられます。
遅い時間の食事はエネルギー消費を下げる可能性がある
食事の時間が遅くなると、エネルギー消費量がわずかに低下する可能性もあります。
ある研究では、同じ内容の食事でも、食べる時間を約4時間後ろにずらすと、覚醒時のエネルギー消費が減少したと報告されています。その差は約50〜60kcal程度とされています。
この背景には、レプチンなどのホルモン変化が関係している可能性があります。レプチンは食欲や代謝に関わるホルモンで、遅い時間の食事ではこの働きに変化が起こることがあります。
ただし、ここでも重要なのは「影響はあるかもしれないが、大きすぎる差ではない」ということです。50kcal前後の差は、日常の歩数や間食の有無でも簡単に変わる範囲です。
夜遅い食事は食欲を強める可能性がある
夜遅くに食事を取ることで、食欲が増えやすくなる可能性もあります。
食事時間を後ろにずらした研究では、空腹感が強くなる確率が上昇したという結果があります。また、食欲を抑えるレプチンと、食欲を高めるグレリンのバランスも、空腹を感じやすい方向に変化したとされています。
つまり、夜遅くに食べること自体が直接大きく太らせるというより、翌日以降の空腹感が強くなり、結果的に食べ過ぎにつながる可能性があります。
ダイエットで大切なのは、短期的な我慢よりも、継続できる食欲コントロールです。夜遅い食事によって翌日の食欲が乱れる人は、夕食の時間や内容を見直す価値があります。
脂肪の合成や分解に関わる遺伝子の影響
夜の食事が太りやすいと言われる理由として、脂肪の合成や分解に関わる遺伝子の変化も挙げられます。
食事時間を遅らせると、脂肪分解に関わる遺伝子の働きが抑えられ、脂肪合成に関わる遺伝子の働きが高まりやすいという報告があります。
この話題でよく出てくるのが、BMAL1という体内時計に関わる遺伝子です。BMAL1は脂肪の蓄積や食事性脂肪の吸収に関係するとされており、「夜はBMAL1が増えるから太りやすい」と説明されることがあります。
ただし、BMAL1は単にダイエットの邪魔をする遺伝子ではありません。体内時計の調整に関わる重要な遺伝子であり、これが正常に働かないと健康面でさまざまな問題が起こる可能性があります。
そのため、「BMAL1があるから夜に食べてはいけない」と単純に考えるのは危険です。メカニズムとしては夜の食事が不利になる可能性はありますが、それが実際の体脂肪減少にどれほど影響するかは、別で考える必要があります。
観察研究では夜に食べる人ほどBMIが高い傾向がある
観察研究では、夜遅くに食べる人ほどBMIが高い傾向が見られることがあります。
夕食を軽くしている人と、夕食を多く食べている人を比較した研究では、夕食を軽くしている人の方がBMIが低い傾向を示したものもあります。
しかし、観察研究では注意が必要です。夜に多く食べる人は、就寝時間が遅い、ファーストフードの摂取量が多い、砂糖入り飲料をよく飲む、野菜や果物が少ないといった生活習慣を持っていることもあります。
この場合、太る原因が「夜に食べたこと」なのか、「全体的な生活習慣や食事内容が乱れていること」なのかを判断するのは難しくなります。
つまり、夜に食べる人ほど太りやすい傾向はありますが、それだけで「夜の食事そのものが太る原因」と断定することはできません。
夕食を軽くすると痩せやすい研究もある
ランダム化比較試験では、夕食を軽くした方が体重が落ちやすい傾向を示した研究もあります。
例えば、朝食を多めにして夕食を軽くしたグループと、朝食を軽くして夕食を多めにしたグループを比較した研究では、朝食を多めにしたグループの方が体重やウエストがより減少したという結果があります。
この結果だけを見ると、「やはり夕食は軽い方がいい」と考えたくなるかもしれません。
ただし、すべての研究で同じ結果が出ているわけではありません。朝食・昼食・夕食のカロリー配分を変えても、体重の減少量に差が出なかった研究もあります。
例えば、朝食を多め、夕食を少なめにした条件と、朝食を少なめ、夕食を多めにした条件を比較しても、4週間後の体重減少量がほぼ同じだったという報告もあります。
夕食を抜けばいいわけではない
夕食を抜くと体重が落ちやすくなる場合もあります。しかし、体重が落ちたからといって、必ずしも脂肪が多く落ちているとは限りません。
朝7時から15時までの間だけ食事をするような、早い時間帯の時間制限食を行った研究では、夕食を抜いたグループの方が体重は大きく減少したとされています。
しかし、脂肪の減少量を見ると、通常の食事スケジュールと大きな差がない場合もあります。この場合、体重は落ちていても、脂肪以外の組織、つまり除脂肪量が減っている可能性があります。
特に筋トレをしていない人が食事時間を極端に短くすると、筋肉量の維持が難しくなる可能性があります。
ダイエットで大切なのは、体重を落とすことだけではありません。筋肉をなるべく残しながら、脂肪を落とすことが重要です。そのため、夕食を抜くかどうかよりも、総摂取カロリー、タンパク質量、筋トレの有無を優先して考える必要があります。
夕食を軽くする効果はどれくらい大きいのか
長期的なカロリー制限の研究では、食事を早い時間に多く取るか、遅い時間に多く取るかが体重変化にどれくらい関係するかも調べられています。
2年間にわたるカロリー制限の研究では、1日の総摂取カロリーの50%に到達する時間が、体重変化のごく一部を説明する可能性が示されています。
簡単に言えば、食事のタイミングは体重変化に関係するかもしれないものの、その影響はおよそ1〜2%程度と考えられます。
一方で、カロリー制限そのものは体重変化に大きく関係します。
つまり、ダイエットで優先すべきなのは、夕食の量を細かく調整することよりも、まず1日の総摂取カロリーを整えることです。そのうえで、余裕があれば食事時間や夕食の配分を調整する、という順番で十分です。
夕食が重すぎると睡眠に悪影響が出ることがある
夜に食べても、総摂取カロリーが適切であれば、必ず太るわけではありません。
ただし、夕食を重くしすぎることには一つ大きな問題があります。それは、睡眠の質が悪くなる可能性です。
寝る前の食事量が多い人、特に脂質の摂取量が多い人ほど、寝つきが悪くなりやすいという報告があります。また、午後8時以降のカロリー摂取が多い人ほど、就寝時間が遅くなる傾向も見られています。
睡眠不足はダイエットにとって大きなマイナスです。睡眠が不足すると、同じように体重が落ちても、脂肪が減りにくく、筋肉が落ちやすくなる可能性があります。
つまり、夜に食べること自体よりも、夜に食べすぎた結果、睡眠が悪くなることの方が問題です。
夜ご飯はどう考えればいいのか
夕食を軽くすることには、確かにわずかなメリットがある可能性があります。
食事誘発性熱産生、エネルギー消費、食欲ホルモン、脂肪合成に関わる遺伝子などを考えると、夜遅くに多く食べるより、早い時間にカロリーを配分した方が理論上は少し有利かもしれません。
しかし、その差は大きくありません。多くの人にとって、夕食を無理に減らすよりも、続けやすい食事管理を作ることの方が重要です。
日中は仕事や家事で忙しく、朝や昼にしっかり食事を取るのが難しい人も多いと思います。また、夜ご飯だけが唯一ゆっくり食事を楽しめる時間という方も少なくありません。
そのような生活リズムの人が、無理に夕食を極端に減らすと、ストレスが増えたり、間食が増えたり、継続できなくなる可能性があります。
ダイエット中の夕食で意識したいポイント
1日の総摂取カロリーを最優先する
夜に食べるかどうかよりも、まずは1日の総摂取カロリーが大切です。摂取カロリーが消費カロリーを大きく上回っていれば、朝に食べても夜に食べても体脂肪は増えやすくなります。
タンパク質をしっかり確保する
夕食を軽くする場合でも、タンパク質まで減らしすぎるのはおすすめできません。筋肉量を維持しながら脂肪を落とすためには、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などからタンパク質を確保することが重要です。
寝る直前の食べすぎは避ける
夜に食べても問題ありませんが、寝る直前に脂質の多い食事や大量の食事を取ると、寝つきや睡眠の質に影響する可能性があります。睡眠が悪い自覚がある人は、夕食の量を少し減らす、脂質を控えめにする、食べる時間を少し早めるなどの工夫がおすすめです。
生活リズムに合う食事配分にする
朝にしっかり食べる方が楽な人は、朝食を多めにして夕食を軽くするのも良い方法です。一方で、夜に食事を楽しみたい人は、朝や昼を調整して、夕食にある程度カロリーを残しておく方法でも問題ありません。
まとめ
夜に食べると太ると言われる背景には、肥満傾向の人ほど夜に多く食べやすいこと、夜の食事では食事誘発性熱産生が低くなりやすいこと、遅い時間の食事で食欲やホルモン、脂肪代謝に変化が起こる可能性があることなどがあります。
そのため、夕食を軽くすることには、ダイエット上の小さなメリットがある可能性はあります。
しかし、実際の影響は大きくありません。ダイエットで最も重要なのは、食事の時間よりも、1日の総摂取カロリー、タンパク質量、食事内容、筋トレ、睡眠です。
夜に食べたから太るのではなく、夜に食べすぎて総摂取カロリーが増えたり、睡眠の質が落ちたりすることが問題です。
夕食を軽くするのが自分に合っている人は取り入れても良いですが、生活リズムに合わないなら無理に行う必要はありません。大切なのは、自分の生活に合った形で、継続できる食事管理を作ることです。
都島・京橋エリアでダイエットやボディメイクを始めたい方は、パーソナルジムEvolveで一人ひとりの生活リズムに合わせた食事管理とトレーニングをサポートしています。
無理な食事制限ではなく、続けられる方法で体を変えたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

