ポテトを我慢してナッツを食べるのは無駄?ダイエット中の食品制限を科学的に考える

ダイエット中に「ポテトは太りそうだから我慢して、代わりにナッツを食べよう」と考えたことはありませんか。

ポテトやケーキ、ラーメンなどを食べたいけれど、ダイエット中だから我慢して、少しでも健康そうな食品に置き換える。このような行動は、一見すると正しいダイエットに見えます。

しかし、実際にはこの努力があまり意味を持たない場合があります。特に、ポテトを我慢してナッツを食べても、結果的に摂取カロリーが同じであれば、体脂肪の変化に大きな差が出ない可能性があります。

もちろん、食品の質を考えることは大切です。ただし、ダイエットにおいて最も重要なのは「健康そうに見える食品を選ぶこと」ではなく、「継続できる形で摂取カロリーと栄養バランスを管理すること」です。

今回は、ポテトを我慢してナッツを食べるという行動が、なぜダイエットにおいて無駄になりやすいのかを解説します。

目次

同じカロリーならポテトでもナッツでも体脂肪の変化は大きく変わらない

ダイエット中は、フライドポテトよりもアーモンドやナッツの方が良いと考えられがちです。

確かに、ナッツには良質な脂質や食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが含まれており、一般的には健康的な食品として扱われます。一方で、フライドポテトは揚げ物であり、ダイエット中には避けるべき食品として見られることが多いです。

しかし、体脂肪の増減という視点で見ると、話はそこまで単純ではありません。

2022年の研究では、成人180人を3つのグループに分けて、1ヶ月間それぞれ異なる食品を毎日食べてもらいました。

  • アーモンドを300kcal分食べるグループ
  • フライドポテトを300kcal分食べるグループ
  • フライドポテトにハーブとスパイスを加えて300kcal分食べるグループ

この研究では、同じ300kcalという条件で、アーモンドとフライドポテトを比較しています。また、ハーブやスパイスには健康的なイメージがあるため、それらを加えることで健康指標に差が出るかも調べられました。

結果として、どのグループでも体脂肪の変化に大きな差は見られませんでした。

つまり、アーモンドを食べた人だけが痩せたわけでもなく、フライドポテトを食べた人だけが太ったわけでもありません。どのグループにも体脂肪が増えた人もいれば、減った人もいました。

健康そうな食品を選んでも、カロリーが同じなら痩せるとは限らない

この結果から分かる重要なポイントは、食品のイメージだけでダイエット効果を判断するのは危険だということです。

ナッツは健康的な食品ではありますが、カロリーは決して低くありません。アーモンドやミックスナッツは少量でも高カロリーになりやすく、何となく健康に良さそうだからと食べていると、普通にポテトと同じくらいのカロリーになることがあります。

たとえば、ポテトを食べたい気持ちを我慢してナッツを食べたとしても、摂取カロリーが同じであれば、体脂肪の減少においては大きな差が出ない可能性があります。

もちろん、長期的な健康面で見れば、ナッツとフライドポテトを10年、20年続けた場合にまったく同じとは言い切れません。しかし、1ヶ月程度のダイエット期間で体脂肪を落とすという視点で考えると、「ポテトを我慢してナッツに変えたから痩せる」とは限らないのです。

ジャンクフードは食べ過ぎやすいが、禁止すればいいわけではない

ここで、「でもジャンクフードは食べ過ぎやすいから、やっぱり避けた方がいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。

これは半分正しく、半分注意が必要です。

実際、超加工食品ばかりを食べる生活をすると、未加工食品を中心に食べる場合よりも摂取カロリーが増えやすいことが示されています。

2019年の研究では、成人20人を対象に、2つの条件で食生活を比較しました。

  • 超加工食品だけを2週間食べる
  • 未加工食品だけを2週間食べる

超加工食品とは、ハンバーガー、スナック菓子、加工されたパンや菓子類など、食べやすく、味が濃く、カロリーを摂りやすい食品を指します。一方で未加工食品は、魚、肉、野菜、果物など、できるだけ加工度の低い食品です。

この研究では、超加工食品だけを食べた場合、未加工食品だけを食べた場合よりも、1日あたり約500kcal多く摂取していました。そして、2週間で体重も約1kg増加しました。

つまり、ジャンクフードや超加工食品は、食べ過ぎを引き起こしやすいという側面があります。

ただし、ここで「だからジャンクフードは完全に禁止しよう」と考えると、別の問題が起こります。

食品を禁止すると、逆に食べたくなる

ダイエットでありがちな失敗が、「これは絶対に食べない」と決めることです。

ラーメンを禁止する。甘いものを禁止する。ポテトを禁止する。ケーキを禁止する。

このように食品を禁止すると、一時的には頑張れるかもしれません。しかし、多くの場合、禁止した食品への欲求が強くなります。

2003年の研究では、60名の女性に対してチョコレートを禁止する実験が行われました。この研究では、普段から食品を制限しがちな女性と、あまり制限しない女性に分けて調べています。

結果として、普段から食品を制限しがちな人ほど、禁止中にもチョコレートを食べてしまう傾向が見られました。また、禁止している時の方が、禁止していない時よりもチョコレートを食べたくなる傾向もありました。

これは、ダイエット経験がある方なら感覚的にも分かると思います。

「ラーメンは絶対に食べない」と決めると、無性にラーメンが食べたくなる。「甘いものは禁止」と決めると、いつも以上に甘いものが頭から離れなくなる。

このように、人は制限されると、かえってその対象への欲求が高まりやすいのです。

禁止は「どうせ失敗したから食べよう」を誘発しやすい

食品を禁止することの問題は、食べたくなるだけではありません。

もう一つの大きな問題は、一度食べてしまった時に「どうせ今日は失敗したから、もう好きなだけ食べよう」という思考になりやすいことです。

たとえば、甘いものを完全に禁止していた人が、少しだけチョコレートを食べてしまったとします。その瞬間に、「もう今日は終わった」「どうせ食べたから全部食べよう」となり、必要以上に食べ過ぎてしまうことがあります。

これは、いわゆる「どうにでもなれ効果」のような状態です。

本来であれば、少し食べただけならダイエット全体に大きな影響はありません。しかし、「禁止していたものを食べた」という事実が精神的な失敗感につながり、その後の過食を引き起こしてしまいます。

つまり、食品を禁止することは、短期的には我慢できているように見えても、長期的には過食やリバウンドのきっかけになる可能性があります。

ダイエット食だけを食べるより、柔軟に食べた方がリバウンドしにくい可能性がある

2021年の研究では、303名を2つのグループに分けてダイエットを行いました。

  • 典型的なダイエット食のみを食べるグループ
  • カロリーとPFCバランスを調整すれば何を食べても良いグループ

典型的なダイエット食とは、鶏肉、卵、野菜など、管理されたメニューを中心に食べる方法です。一方で、もう一方のグループは、カロリーとPFCバランスが整っていれば、ラーメンやケーキのような食品も取り入れて良いという方法でした。

実験期間中は、どちらのグループも同じくらい体重が減少しました。これは、摂取カロリーの管理ができていたためです。

しかし、その後のリバウンドには差が出ました。

典型的なダイエット食のみを食べていたグループは、体重が約1.1kg戻りました。一方で、カロリーとPFCバランスを調整しながら柔軟に食べていたグループは、リバウンドがほとんど見られませんでした。

この結果から考えると、ダイエット中に食品を完全に禁止するよりも、摂取カロリーと栄養バランスを管理しながら、好きな食品も適量取り入れる方が継続しやすい可能性があります。

毎日少量のデザートを食べた方がリバウンドしにくいケースもある

2012年の研究では、朝食にデザートを食べるグループと、デザートを食べないグループを比較しています。

デザートの内容は、チョコレート、クッキー、ケーキ、アイス、プリン、ドーナツなどです。

どちらのグループも、ダイエット期間中は同じくらいのカロリーに調整されていました。そして、16週間のダイエット期間中は、どちらのグループも同じくらい体重が減少しました。

しかし、ダイエット終了後に違いが出ました。

朝食にデザートを食べていたグループは、その後も体重がさらに減少しました。一方で、デザートを食べていなかったグループはリバウンドしました。

この研究からも、好きな食品を完全に禁止するより、あらかじめ適量を食事の中に組み込む方が、長期的には継続しやすい可能性があると考えられます。

ポテトを我慢してナッツを食べるより、ポテトを少量食べる方が良い場合もある

ここまでの内容を踏まえると、ポテトを食べたいのに我慢してナッツを食べるという行動は、必ずしも良い選択とは限りません。

特に、ポテトを我慢してナッツを食べた結果、カロリーが同じくらいになっているのであれば、ダイエット効果としては大きな差が出ない可能性があります。

さらに、ポテトを我慢し続けることで、ポテトへの欲求が高まり、どこかで爆発して食べ過ぎてしまう可能性もあります。

それなら、最初からポテトを完全に禁止せず、少量を計画的に取り入れた方が、結果的にダイエットが続きやすい場合があります。

たとえば、どうしてもポテトが食べたいなら、ポテトのSサイズを食べる。その代わり、その日の他の食事で脂質や炭水化物の量を調整する。このように考える方が現実的です。

「食べたいものを我慢して健康そうなものに置き換える」のではなく、「食べたいものを適量入れたうえで、全体のカロリーと栄養バランスを整える」ことが重要です。

健康的な食品を食べれば痩せる、という考え方は危険

ダイエットでは、「健康的な食品を食べていれば痩せる」と考えてしまうことがあります。

しかし、健康的な食品でもカロリーが高ければ、食べ過ぎによって体脂肪は増えます。ナッツ、アボカド、オリーブオイル、玄米、プロテインバーなどは健康的なイメージがありますが、食べ過ぎれば当然カロリーオーバーになります。

反対に、ポテトやラーメン、スイーツのような食品でも、量を調整して全体のカロリー内に収めれば、ダイエット中に食べることは可能です。

大切なのは、食品を「良い食品」「悪い食品」と極端に分けすぎないことです。

もちろん、毎食ジャンクフードばかりでは栄養バランスが崩れやすく、食欲も乱れやすくなります。しかし、完全に禁止する必要もありません。

ダイエット中に意識したい食事の考え方

ダイエット中に重要なのは、完璧な食事を目指すことではありません。継続できる食事を作ることです。

摂取カロリーを管理する

体脂肪を落とすためには、基本的に消費カロリーよりも摂取カロリーを少なくする必要があります。

どれだけ健康的な食品を選んでいても、摂取カロリーが多ければ痩せにくくなります。反対に、好きな食品を少し取り入れていても、全体のカロリーが管理できていれば体脂肪は落とせます。

PFCバランスを整える

PFCとは、たんぱく質、脂質、炭水化物のことです。

ダイエット中は、カロリーだけでなくPFCバランスも大切です。特に、筋肉を維持しながら体脂肪を落としたい場合は、たんぱく質をしっかり摂ることが重要です。

ポテトやスイーツを食べる場合でも、その他の食事でたんぱく質や野菜を確保し、全体のバランスを整えれば問題は小さくなります。

好きな食品を完全に禁止しない

好きな食品を完全に禁止すると、欲求が強くなりやすくなります。

その結果、我慢の限界が来た時に食べ過ぎてしまい、リバウンドにつながることがあります。

そのため、好きな食品はゼロにするのではなく、量や頻度を決めて取り入れるのがおすすめです。

置き換えが本当に有効か考える

ポテトを我慢してナッツを食べる場合、その置き換えが本当にカロリー削減につながっているかを考える必要があります。

ナッツは少量でも高カロリーです。何となく健康そうだからと食べると、結果的にポテトと同じくらい、あるいはそれ以上のカロリーになることもあります。

置き換えをするなら、満足感、摂取カロリー、栄養バランスを合わせて判断することが大切です。

我慢よりも「設計」がダイエット成功の鍵

ダイエットがうまくいかない人ほど、食品を禁止しようとします。

しかし、実際には禁止するほど食べたくなり、少し食べた瞬間に「もう失敗した」と感じて過食につながることがあります。

ダイエットに必要なのは、根性で我慢し続けることではありません。食べたいものも含めて、全体の食事を設計することです。

ポテトを食べたいなら、ポテトを食べても良い。ただし、量を決める。他の食事で調整する。たんぱく質を確保する。1日の総カロリーを大きく超えないようにする。

このように考えることで、ダイエットはかなり現実的になります。

まとめ

ポテトを我慢してナッツを食べるという行動は、一見すると健康的なダイエットに見えます。

しかし、同じカロリーであれば、体脂肪の変化に大きな差が出ない可能性があります。ナッツは健康的な食品ではありますが、高カロリーでもあるため、食べ過ぎればダイエット効果は期待しにくくなります。

また、ポテトや甘いものを完全に禁止すると、かえって食欲が高まり、過食やリバウンドにつながる場合があります。

大切なのは、好きな食品を完全に禁止することではなく、カロリーとPFCバランスを整えながら、少量を計画的に取り入れることです。

ダイエットは、健康そうな食品だけを食べる競技ではありません。継続できる食事管理を作ることが、最終的に体脂肪を落とし、リバウンドを防ぐために重要です。

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