「リバウンドをすると筋肉が減って脂肪だけが増える」「何度もダイエットに失敗すると、どんどん痩せにくい体になる」このような話を聞いたことがある方は多いと思います。
たしかに、ダイエット中は体脂肪だけでなく筋肉もある程度減ることがあります。そして体重が戻る時に脂肪ばかり増えるのであれば、リバウンドを繰り返すほど体脂肪率が高くなり、痩せにくい体になっていくように見えます。
しかし、実際にはこの考え方はかなり単純化されすぎています。結論から言うと、一般的な若い世代や中年世代においては、リバウンドしたからといって必ず脂肪だらけの痩せにくい体になるわけではありません。多くの場合、体重が減った時に失われた筋肉と脂肪が、体重が戻る過程である程度一緒に戻るだけです。
つまり、リバウンドをしたから体が壊れてしまう、何回もダイエットに失敗したからもう痩せられない、という考え方は過度に悲観的です。ただし、高齢者や極端な食事制限をした人、大幅な減量をした人では注意が必要なケースもあります。
リバウンドで痩せにくくなるという話はどこから来たのか
リバウンドで痩せにくくなると言われる理由は、主に「減量時には筋肉と脂肪が減るのに、リバウンド時には脂肪だけが戻る」という考え方にあります。
もしこの現象が毎回起こるのであれば、ダイエットとリバウンドを繰り返すたびに筋肉量は減り、体脂肪だけが増えていくことになります。そうなると基礎代謝が下がり、同じ食事量でも太りやすく、痩せにくい体になっていくという理屈です。
ただ、実際の研究を見ていくと、この話はすべての人に当てはまるわけではありません。特に若い人や筋肉を合成する能力が十分に残っている人では、体重が戻る時に筋肉もある程度戻る傾向があります。
ヨーヨーダイエットで体脂肪が増え続ける根拠は強くない
減量とリバウンドを何度も繰り返すことは、ヨーヨーダイエットとも呼ばれます。一般的には、ヨーヨーダイエットを繰り返すほど太りやすくなり、体脂肪が増え、筋肉が減るというイメージがあります。
しかし、研究全体を見たレビューでは、ヨーヨーダイエットによって必ず体重や体脂肪が増えやすくなる、筋肉が減る、代謝が悪化するという根拠はそこまで強くありません。
たとえば、体重やBMIとの関係を見た研究では、ヨーヨーダイエット経験者の方が明確に体重が重いと示した研究は一部に限られています。体脂肪の増加についても、多くの研究で明確な悪影響は確認されていません。筋肉量の減少や代謝の悪化についても、すべての研究で一貫して確認されているわけではありません。
つまり、「リバウンドを繰り返すと必ず脂肪だらけになる」というよりも、「そう見えるケースもあるが、多くの研究でははっきりした悪影響は確認されていない」と考える方が現実的です。
高齢者ではリバウンド時に脂肪が優先的に戻りやすい可能性がある
一方で、高齢者ではリバウンドによって体組成が悪化しやすい可能性があります。これは、年齢とともに筋肉を合成する能力が低下しやすいからです。
たとえば、50代から70代の女性を対象にした研究では、減量期間中に体重が落ちると、脂肪だけでなく筋肉も減少しました。その後、体重が戻っていく過程では、脂肪は増えた一方で、筋肉量はあまり戻らなかったという結果が示されています。
この場合、減量後にリバウンドすると、脂肪は戻るのに筋肉は戻りにくいため、体脂肪率が高くなりやすいと考えられます。まさに「リバウンドで体型が悪化する」というイメージに近い現象です。
また、70代前後の男女を対象にした研究でも、減量後に体重が少し戻った際、筋肉よりも脂肪の戻りが目立つ傾向が示されています。高齢者ではサルコペニア、つまり筋肉量の低下が問題になりやすく、減量中に筋肉を減らさない工夫が非常に重要になります。
若い人ではリバウンドしても元に戻るだけのケースが多い
一方で、若い人や中年世代では、高齢者と同じような結果になるとは限りません。筋肉を作る能力が比較的高いため、体重が増える時に脂肪だけでなく筋肉もある程度戻りやすいからです。
実際に、平均年齢が比較的若い女性を対象にした研究では、減量中に脂肪と筋肉が減り、代謝も低下しました。しかし、その後のリバウンド期間では、脂肪と一緒に筋肉も戻り、代謝もある程度回復しました。
この結果を見ると、リバウンドによって脂肪だけが増えて体が悪化したというより、単純に体重が元に戻ったと考える方が自然です。
つまり、普通の範囲でダイエットをして、体重が戻ってしまったという程度であれば、若い人が極端に脂肪だらけの体になる可能性は高くありません。もちろん見た目としては、痩せていた時より体脂肪が増えるため体型は崩れたように感じます。しかし、それは「減量前の状態に戻った」に近いケースが多いです。
大幅減量後のリバウンドでも筋肉と脂肪は一定割合で戻る可能性がある
大幅な減量をした人を長期間追跡した研究でも、体重の増減に対して脂肪と除脂肪量が一定の割合で変化することが示されています。
極端に体重を落とした後、数年かけて大きくリバウンドした人たちを調べると、体重が減る時も増える時も、脂肪と筋肉がある程度同じような割合で動いていました。体重が1kg変化した時、その大部分は脂肪の変化ですが、筋肉やその他の除脂肪量も一定割合で変化します。
もし「減量時は筋肉が大きく減り、リバウンド時は脂肪だけ増える」ということが強く起きているなら、体重変化と脂肪量変化の関係は大きくズレるはずです。しかし、実際にはかなりきれいな関係が見られています。
このことからも、少なくとも若い人や中年世代では、リバウンドしたからといって一方的に脂肪だけが増えるとは言い切れません。
アスリートの増量と減量でも体組成は元に戻りやすい
ボクサーやボディビルダーのように、増量と減量を繰り返す競技者もいます。こうしたアスリートは、体重を増やしたり落としたりすることを何度も経験します。
リバウンドを繰り返すと脂肪だけが増えて痩せにくくなるのであれば、こうした競技者は回数を重ねるほど体組成が悪化していくはずです。しかし、実際には体重が戻ると体組成もある程度元に戻るという結果が示されています。
もちろん、アスリートはトレーニング習慣があり、たんぱく質摂取や運動量も一般の人より管理されているため、そのまま全員に当てはめることはできません。それでも、体重の増減を繰り返しただけで必ず脂肪だらけになるという考え方は、かなり雑な見方だと言えます。
ただし代謝低下が残る可能性はある
ここで注意したいのは、リバウンドしても体組成が元に戻りやすいことと、代謝が完全に元に戻ることは別問題だという点です。
大幅な減量をした人では、体重が戻った後も、推定される消費カロリーより実際の消費カロリーが低い状態が続く可能性があります。これは適応性熱産生や代謝適応と呼ばれる現象に近く、体が減量に抵抗するような反応です。
そのため、「昔と同じ食事制限をしているのに痩せない」と感じる人がいるのは、完全に気のせいとは言えません。特に短期間で大幅に体重を落とした人や、かなり厳しい食事制限をした人では、以前と同じカロリー設定では体重が落ちにくくなる可能性があります。
ただし、これは「もう痩せられない」という意味ではありません。現在の体重変化を見ながら、摂取カロリーや活動量を再設定すれば、再び減量は可能です。
リバウンド後に痩せない原因は体が壊れたからではない
リバウンド後に痩せにくいと感じる人は、体が脂肪だらけに変化してしまったと考えがちです。しかし実際には、現在の摂取カロリー、活動量、筋トレ量、睡眠、ストレス、日常の歩数などが以前と変わっている可能性があります。
また、ダイエットを始めた当初より体重が軽くなっていれば、同じ生活をしていても消費カロリーは下がります。体が小さくなれば、維持に必要なエネルギーも少なくなるからです。
さらに、ダイエットを何度も繰り返している人ほど、無意識に活動量が落ちたり、食事管理が曖昧になったりすることもあります。本人は同じように頑張っているつもりでも、実際には摂取カロリーが多かったり、消費カロリーが少なかったりするケースはよくあります。
つまり、リバウンド後に痩せにくく感じる場合でも、「リバウンドで一生痩せない体になった」と考える必要はありません。今の体に合わせてカロリー設定や運動量を見直すことが大切です。
筋肉を削りすぎるダイエットには注意が必要
若い人であればリバウンドしても基本的には元に戻りやすいとはいえ、減量中に筋肉を大きく削ってしまうようなダイエットは避けるべきです。
たとえば、極端なカロリー制限、たんぱく質不足、筋トレをしないダイエット、睡眠不足が続くダイエットでは、脂肪だけでなく筋肉も大きく減りやすくなります。
通常の範囲で筋肉が少し減る程度であれば、体重が戻る時に筋肉も戻りやすい可能性があります。しかし、減量中に筋肉を急激に落としすぎた場合、体重が戻るスピードに対して筋肉の回復が追いつかず、結果的に体組成が悪化する可能性はあります。
つまり、問題はリバウンドそのものよりも、無理な減量で筋肉を大きく削ってしまうことです。ダイエット中こそ筋トレを継続し、たんぱく質を確保し、できるだけ筋肉を残しながら脂肪を落とすことが重要です。
高齢者ほど筋トレをしながら減量することが重要
高齢者では、リバウンド時に筋肉が戻りにくい可能性があるため、減量のやり方により注意が必要です。
体重だけを落とすことを目的にしてしまうと、筋肉も一緒に減り、リバウンド時に脂肪が戻りやすくなる可能性があります。これにより、体重は以前と同じでも、筋肉が少なく脂肪が多い体になってしまうことがあります。
そのため、高齢者のダイエットでは食事制限だけに頼るのではなく、筋トレを組み合わせることが非常に大切です。筋肉への刺激を入れながら、たんぱく質をしっかり摂り、急激に体重を落としすぎないことがポイントです。
これは見た目の問題だけではありません。筋肉量は日常生活の動作、姿勢、転倒予防、健康寿命にも関わります。高齢者ほど「体重を落とす」よりも「筋肉を残して脂肪を落とす」という考え方が重要になります。
リバウンドを恐れすぎる必要はない
ダイエットに失敗した経験がある人ほど、「自分は何回もリバウンドしているから、もう痩せにくい体になっている」と思い込みやすいです。
しかし、普通の範囲でダイエットとリバウンドを繰り返したからといって、必ず筋肉が減り続け、脂肪だけが増え続けるわけではありません。多くの場合、体重が増えた分だけ脂肪も筋肉もある程度戻っていると考えられます。
もちろん、リバウンドを繰り返すこと自体が良いわけではありません。体重の増減が大きいと精神的なストレスも増えますし、食習慣も安定しにくくなります。ただ、「リバウンドしたから終わり」「もう痩せられない」と考える必要はありません。
ダイエットは一度で完璧に成功しなければいけないものではありません。何度か失敗しながら、自分に合う食事量、運動量、生活リズムを見つけていく人も多いです。
リバウンド後にやるべきこと
リバウンドしてしまった時に大切なのは、過去の失敗を責めることではなく、現在の体に合わせて再調整することです。
現在の摂取カロリーを把握する
まずは、今どれくらい食べているのかを把握することが重要です。感覚だけで食事を減らそうとすると、実際には思ったより食べていたり、逆に減らしすぎて続かなかったりします。
数日から1週間ほど食事内容を記録し、現在の摂取カロリーやたんぱく質量を確認しましょう。そこから体重の変化を見て、減量に必要なカロリーを設定していきます。
筋トレを再開する
リバウンド後に体型を整えたいなら、食事制限だけでなく筋トレも重要です。筋トレをすることで、減量中の筋肉減少を抑えやすくなり、体重が落ちた時の見た目も良くなります。
特に、脚、背中、胸など大きな筋肉を使う種目を中心に行うと、全身の筋肉量を維持しやすくなります。初心者の場合は、正しいフォームで安全に行うことを優先しましょう。
急激に体重を落とそうとしない
リバウンド後は焦って短期間で体重を戻そうとしがちです。しかし、極端な食事制限は筋肉を削りやすく、またリバウンドを繰り返す原因にもなります。
目安としては、体重の変化を見ながら無理なく続けられるペースで進めることが大切です。早く落とすことよりも、筋肉を残しながら継続できる方法を選びましょう。
体重だけでなく体型も見る
リバウンド後のダイエットでは、体重だけを見て判断しないことも大切です。筋トレをしながら減量している場合、体重の変化がゆっくりでも、見た目やウエストが変わっていることがあります。
体重、ウエスト、写真、トレーニングの重量、日々の体調などを合わせて確認すると、より正確に変化を判断できます。
まとめ
リバウンドすると脂肪だけが増えて、どんどん痩せにくい体になるという話は、すべての人に当てはまるわけではありません。
高齢者では、減量中に失った筋肉がリバウンド時に戻りにくく、脂肪が優先的に戻る可能性があります。そのため、高齢者のダイエットでは筋トレとたんぱく質摂取が特に重要です。
一方で、若い人や中年世代では、リバウンドしても脂肪だけが増えるというより、体重が戻る過程で筋肉もある程度戻り、結果的に元の状態に近づくケースが多いと考えられます。
ただし、極端なカロリー制限で筋肉を削りすぎた場合や、大幅な減量をした場合は、代謝低下や体組成の悪化が残る可能性があります。そのため、リバウンドを恐れるよりも、無理な減量を避け、筋トレを続けながら現実的なペースで脂肪を落とすことが大切です。
ダイエットに一度失敗したからといって、体が終わるわけではありません。何度か失敗したとしても、現在の体重、食事量、活動量に合わせて調整すれば、また体は変えていけます。
パーソナルジムEvolveでは、体重を落とすだけではなく、筋肉を残しながら引き締まった体を目指すためのトレーニングと食事指導を行っています。リバウンドを繰り返して悩んでいる方も、まずは今の生活習慣と体の状態を整理するところから始めていきましょう。

