ダイエット中に「朝ご飯は食べた方がいいのか」「朝食を抜いた方が痩せるのか」と悩む方は多いと思います。
一般的には、朝食は健康に良いものとして考えられています。
例えば、朝食を食べると代謝が上がる、朝食を抜くと昼食後の血糖値が上がりやすい、朝食を抜くと空腹が強くなって間食が増える、といった話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
たしかに、これらの話には正しい部分があります。
しかし、体脂肪を落とすという目的で考えると、朝食を食べることが必ずしもダイエットに有利になるとは限りません。
むしろ、痩せたい場合は朝食を抜く方が有利になる可能性があります。
今回は、朝食とダイエットの関係について、健康面、代謝、摂取カロリー、活動量、筋トレのパフォーマンスまで含めて解説していきます。
朝食を食べる人は健康的でBMIが低い傾向がある
まず前提として、朝食を食べる人の方が健康的で、BMIも低い傾向があるという研究は多くあります。
朝食を食べる頻度が高い人ほど、2型糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、コレステロール異常、心血管疾患、高血圧、脳卒中などのリスクが低い傾向にあると報告されています。
また、朝食を食べる割合が低い人ほどBMIが高い傾向があるという報告もあります。
つまり、観察研究では「朝食を食べる人ほど健康的で、体型も良い傾向がある」と言えます。
この結果だけを見ると、朝食は絶対に食べた方がいいように感じるかもしれません。
しかし、ここで注意したいのが、観察研究では「相関」は分かっても「因果」までは分からないという点です。
朝食を食べるから健康なのか、健康意識が高い人が朝食を食べているのか
朝食を食べる人が健康的だからといって、朝食そのものが健康や体型の良さを作っているとは限りません。
現代では「朝ご飯は食べた方がいい」と考えている人が多いため、もともと健康意識が高い人ほど朝食を食べている可能性があります。
例えば、朝食を食べる人は、睡眠時間を整えていたり、運動習慣があったり、食事内容にも気をつけていたりする可能性があります。
つまり、朝食を食べているから痩せているのではなく、健康的な生活をしている人が朝食も食べている、という可能性があるということです。
そのため、「朝食を食べる人はBMIが低い」というデータだけで、「朝食を食べれば痩せる」とは言い切れません。
朝食が健康に良いと言われる理由
朝食が健康に良いと言われる理由には、いくつかのメカニズムがあります。
特に関係が深いのが、血糖コントロールです。
朝は血糖コントロールが良い
人の体は、朝の方が糖を処理しやすい傾向があります。
インスリンを分泌する膵臓のベータ細胞の働きは、夕方より朝の方が高いという報告があります。
また、2型糖尿病患者では、朝食を抜いた方がインスリンの分泌が悪くなったり、その後の食事で血糖値が上がりやすくなったりする可能性も示されています。
このように、血糖コントロールの面では、朝食を食べることにメリットがある可能性があります。
特に、糖尿病や血糖値に不安がある方は、単純に「痩せるから朝食を抜く」と考えるのではなく、体調や医師の指導に合わせて判断することが大切です。
普段から朝食を食べているかどうかでも変わる
朝食の影響は、普段から朝食を食べている人か、もともと朝食を食べない人かによっても変わる可能性があります。
ある研究では、肥満気味の女性を対象に、朝食を抜いた時の影響が調べられました。
その結果、普段から朝食を食べている人が朝食を抜くと、インスリンや脂質代謝に悪影響が出る可能性がありました。
一方で、普段から朝食を食べない人は、朝食を抜いても大きな悪影響が出にくい可能性が示されています。
つまり、朝食が体に与える影響は、その人の普段の生活習慣によって変わる可能性があります。
朝食を食べると代謝は上がるのか
「朝食を食べると代謝が上がる」という話は、完全な間違いではありません。
食事をすると、消化、吸収、代謝のためにエネルギーが使われます。
これを食事誘発性熱産生、またはDITと言います。
このDITは、夜よりも朝の方が高くなる傾向があります。
朝食の方が夕食よりDITは高い
ある研究では、普通体型の男性を対象に、朝食を多く食べる場合と夕食を多く食べる場合が比較されました。
一方は、朝食を多くして、夕食を少なくするパターンです。
もう一方は、朝食を少なくして、夕食を多くするパターンです。
その結果、食事の量に関わらず、食後の代謝上昇は朝食後の方が大きいことが分かりました。
また、朝8時に食事を摂った場合と夜20時に食事を摂った場合では、夜の食事による代謝上昇は朝食に比べて低いことも報告されています。
つまり、朝食を食べる方が、食後の代謝は上がりやすいです。
ただし、代謝アップの差はかなり小さい
ただし、ここで重要なのは、DITによる代謝アップはダイエット結果を大きく変えるほど大きな差ではないということです。
比率だけを見ると、朝食後の代謝上昇は夕食後よりかなり大きく見えます。
しかし、実際の消費カロリー差で見ると、1時間あたり数kcal程度の差にすぎない場合があります。
つまり、「朝食を食べると代謝が上がる」というのは事実ですが、その代謝アップだけで大きく痩せると考えるのは現実的ではありません。
ダイエットでは、DITのわずかな差よりも、1日の総摂取カロリーの方が圧倒的に重要です。
朝食を食べると活動量が増える可能性がある
朝食による消費カロリーの増加で、DITよりも影響が大きい可能性があるのが、日常の活動量です。
運動以外の日常生活で消費するエネルギーをNEATと言います。
例えば、歩く、立つ、掃除をする、仕事中に動く、階段を使うなどの小さな活動です。
ある研究では、朝に700kcal以上の食事を摂る場合と、昼まで絶食する場合が比較されました。
その結果、朝食を食べたグループの方が、午前中の軽い身体活動量が多かったと報告されています。
朝食を抜くと、体がだるくなったり、無意識に動く量が減ったりすることがあります。
反対に、朝食を食べることで午前中の活動量が増え、結果的に消費カロリーが増える可能性があります。
この点では、朝食にはダイエットにプラスの要素もあります。
ただし、活動量が増えたとしても、朝食で摂るカロリーの方が大きくなれば、体脂肪は落ちにくくなります。
空腹感や間食は増えやすい
朝食を抜くと、お腹が空きやすくなるのは事実です。
朝食を食べる場合と午前中に何も食べない場合を比較した研究では、朝食を食べなかったグループの方が、日中の食欲が高くなりました。
特に、朝から昼にかけての空腹感は強くなりやすく、昼食をいつもより多く食べてしまう可能性があります。
また、朝食を食べたグループの方が、衝動的にお菓子を食べることが少なかったという報告もあります。
つまり、朝食を抜くと、昼食を食べすぎたり、間食が増えたりする可能性はあります。
ここだけを見ると、朝食を抜くのはダイエットに不利に感じるかもしれません。
それでも朝食を抜く方が痩せやすい理由
朝食を抜くと、空腹感が強くなり、昼食や間食が増えやすい。
これは事実です。
しかし、それでもダイエットでは朝食を抜く方が有利になる可能性があります。
理由は、朝食で抜いたカロリーを、昼食や間食で完全に埋め合わせることは少ないからです。
朝食を抜くと1日の摂取カロリーが下がりやすい
朝食を食べるグループと食べないグループを比較した研究をまとめたメタ分析では、朝食を食べないグループの方が体重が減りやすい傾向が見られています。
体重の差としては大きなものではありませんが、朝食を食べない方が平均で約0.4kg多く体重が減ったという報告があります。
また、朝食を食べないグループの方が、1日の摂取カロリーが約260kcal少ない傾向も示されています。
この理由は非常にシンプルです。
朝食を抜くと、昼食や間食が多少増えることはあります。
しかし、朝食で抜いた分のカロリーを完全に取り戻すほどは食べないことが多いのです。
昼食や間食が増えても、朝食分を埋めるほどではない
例えば、普段の朝食で600kcalを摂っている人が朝食を抜いたとします。
その影響で、昼食をいつもより150kcal多く食べるかもしれません。
さらに、間食を少し多く摂るかもしれません。
しかし、それでも朝食で抜いた600kcalすべてを埋めるほど食べるとは限りません。
その結果、1日の総摂取カロリーは朝食を抜いた方が少なくなりやすいです。
ダイエットで最も重要なのは、朝食を食べたかどうかではなく、1日の総摂取カロリーです。
朝食を抜くことで、自然に摂取カロリーが下がるのであれば、体脂肪を落とす上では有利になります。
朝食を食べると消費カロリーも増えるが、摂取カロリーも増える
逆に朝食を食べると、食事誘発性熱産生や日常活動量が増える可能性があります。
つまり、消費カロリーが増える可能性はあります。
しかし、朝食を食べるということは、当然ながら摂取カロリーも増えるということです。
研究では、朝食を食べたグループの方が消費カロリーは高くなった一方で、摂取カロリーも高くなっていました。
つまり、消費カロリーが増えても、それ以上に摂取カロリーが増えれば、ダイエットにはつながりません。
これは有酸素運動にも似ています。
運動で消費カロリーを増やしても、その後に食欲が増えて食べる量が増えたり、無意識に他の活動量が減ったりすると、思ったほど体重は落ちません。
朝食を食べることで消費カロリーが増える面はありますが、それだけで痩せるとは言えません。
朝食は健康面ではプラスになる可能性もある
ダイエットだけで見ると、朝食を抜く方が有利になる可能性があります。
しかし、健康面で見ると、朝食を食べることがプラスに働く可能性もあります。
その理由の一つが、高エネルギーフラックスです。
高エネルギーフラックスとは
高エネルギーフラックスとは、簡単に言うと「よく食べて、よく動く状態」のことです。
摂取カロリーも多いけれど、活動量や運動量も多い状態です。
この状態は、体重維持や代謝マーカーに良い影響を与える可能性があるとされています。
朝食を食べる人は、食事量が増える一方で、日中の活動量も増えやすい傾向があります。
そのため、朝食を食べる人が健康的に見える理由は、朝食そのものだけでなく、よく食べてよく動く生活になりやすいことも関係している可能性があります。
朝食を食べる人は栄養不足が少ない傾向がある
朝食を食べる人は、1日の食事回数が増えるため、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素を摂りやすくなります。
実際に、朝食を食べる人の方が、微量栄養素の不足が少ない傾向があるとされています。
一方で、朝食を抜くと摂取カロリーは下がりやすいですが、食事内容によっては必要な栄養素まで不足しやすくなります。
特に、ダイエット中は食事量が少なくなるため、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しやすくなります。
そのため、朝食を抜く場合でも、昼食と夕食で栄養バランスを整えることが大切です。
朝食を抜くならコーヒーを活用するのもおすすめ
朝食を抜く時のデメリットは、午前中のだるさや集中力の低下です。
この対策として、ブラックコーヒーなどのカフェインを活用するのも一つの方法です。
カフェインには覚醒作用があるため、朝食を抜いた時の眠気やだるさを軽減しやすくなります。
朝食を抜くことで活動量が下がりやすい人でも、コーヒーを飲むことで午前中の活動量を維持しやすくなる可能性があります。
ただし、砂糖やミルクをたくさん入れるとカロリーが増えてしまいます。
ダイエット中に飲むなら、ブラックコーヒーや無糖の飲み物がおすすめです。
筋トレをする人は朝食抜きに注意
筋トレをしている人は、朝食を抜くこと自体よりも、トレーニングの時間に注意が必要です。
朝食を抜いた状態で午前中に筋トレをすると、空腹感が強くなり、パフォーマンスが下がる可能性があります。
空腹状態で筋トレをするとパフォーマンスが下がる可能性がある
トレーニング経験のある男性を対象にした研究では、朝食を食べた場合と、水だけでトレーニングした場合が比較されました。
トレーニング内容は、スクワットとベンチプレスです。
その結果、朝食を食べなかった条件では、空腹感が強くなり、スクワットやベンチプレスの総レップ数が低下しました。
つまり、完全な空腹状態で筋トレをすると、トレーニングの質が落ちる可能性があります。
筋肉を残しながら痩せたい場合、トレーニングの質は非常に重要です。
朝食を抜くことで筋トレのパフォーマンスが落ちるなら、それはダイエットにとってもマイナスになります。
昼食後や夕食後に筋トレをするなら問題は出にくい
一方で、朝食を抜いたとしても、昼食を食べた後に筋トレをする場合は、パフォーマンスに大きな差が出にくい可能性があります。
朝食と昼食を食べた場合と、朝食を抜いて昼食だけ食べた場合を比較した研究では、昼食後の筋トレでこなしたレップ数に大きな差は見られませんでした。
つまり、朝食を抜く場合でも、筋トレを昼食後や夕食後に行うなら、パフォーマンス低下はそこまで気にしなくても良い可能性があります。
朝に筋トレをする人は朝食を入れた方が良い場合がありますが、昼以降に筋トレをする人は、朝食抜きでも問題なく進められる可能性があります。
痩せたい人は朝食を無理に食べなくていい
ダイエット目的で考えるなら、朝食を無理に食べる必要はありません。
朝食を食べることで代謝や活動量が上がる可能性はありますが、その効果は限定的です。
一方で、朝食を抜くことで1日の総摂取カロリーが下がりやすくなるため、体脂肪を落とす上では有利になる可能性があります。
もちろん、朝食を抜いた結果としてお菓子を食べすぎたり、昼食を大きく食べすぎたりする場合は注意が必要です。
しかし、朝食を抜いても昼食や夕食をコントロールできる人であれば、朝食抜きはダイエットの選択肢として十分に使えます。
朝食抜きが向いている人
朝食抜きが向いているのは、次のような人です。
- 朝にあまり空腹を感じない人
- 朝食を抜いても昼まで問題なく過ごせる人
- 1日の摂取カロリーを自然に減らしたい人
- 夜に食事量を残したい人
- 筋トレを昼食後や夕食後に行う人
- 朝食を食べると逆に食欲が増えてしまう人
このような人は、無理に朝食を食べるよりも、朝食を抜いた方がダイエットを進めやすい可能性があります。
朝食を食べた方がいい人
反対に、朝食を食べた方がいい人もいます。
- 朝食を抜くとお菓子を食べすぎる人
- 午前中に強いだるさを感じる人
- 朝に筋トレやスポーツをする人
- 食事量が少なく、栄養不足になりやすい人
- 血糖コントロールに不安がある人
- 体重を落とすより健康維持を優先したい人
朝食を抜いた結果、昼までにお菓子や菓子パンを食べてしまう場合は、逆にカロリーオーバーになることがあります。
そのような場合は、完全に朝食を抜くよりも、軽めの朝食を入れる方がおすすめです。
朝食を食べるなら何を選ぶべきか
朝食を食べる場合は、血糖値が上がりやすいものや、カロリーだけが高いものは避けたいところです。
おすすめは、タンパク質を含み、腹持ちの良い食品です。
- 卵
- 納豆
- 無糖ヨーグルト
- プロテイン
- 味噌汁
- バナナ
- オートミール
特にダイエット中は、タンパク質をしっかり摂ることが重要です。
タンパク質は筋肉を維持するために必要であり、腹持ちも良いため、食欲のコントロールにも役立ちます。
朝食を食べる場合でも、菓子パンや甘いカフェドリンクだけで済ませるのではなく、タンパク質を意識しましょう。
間食対策
朝食を抜く場合は、空腹時に何を食べるかをあらかじめ決めておくことが大切です。
空腹になってから選ぶと、手軽なお菓子や高カロリーなものを選びやすくなります。
おすすめの間食は、以下のようなものです。
- プロテイン
- 無糖ヨーグルト
- バナナ
- ゆで卵
- ナッツ少量
- ブラックコーヒー
間食を完全に我慢する必要はありません。
ただし、間食でカロリーを摂りすぎると、朝食を抜いたメリットがなくなります。
朝食を抜く場合は、空腹対策として低カロリーで栄養のあるものを準備しておくことが重要です。
朝食抜きダイエットで失敗しやすいパターン
朝食抜きは、うまく使えば摂取カロリーを下げやすい方法です。
しかし、やり方を間違えると逆に太りやすくなることもあります。
特に失敗しやすいのは、次のようなパターンです。
- 朝食を抜いた反動で昼食を大盛りにしすぎる
- 空腹でお菓子や菓子パンを食べてしまう
- カフェラテや砂糖入りコーヒーを何杯も飲む
- 午前中の活動量が極端に下がる
- 空腹状態で筋トレをしてパフォーマンスが落ちる
- 昼食と夕食の栄養バランスが崩れる
朝食を抜くこと自体が悪いわけではありません。
大切なのは、朝食を抜いた後の食事と行動です。
朝食を抜いても、昼食と夕食でタンパク質をしっかり摂り、間食をコントロールできれば、ダイエットには有利に働きます。
結論:痩せたいなら朝食は無理に食べなくていい
朝食は、健康面ではメリットがある可能性があります。
朝食を食べることで、栄養素を摂りやすくなったり、午前中の活動量が増えたりすることがあります。
また、血糖コントロールの面でも、朝食がプラスに働く可能性があります。
しかし、ダイエット目的で考えると、朝食を抜く方が有利になる可能性があります。
理由は、1日の総摂取カロリーが下がりやすいからです。
朝食を抜くと昼食や間食が増えることはありますが、朝食で摂らなかったカロリーをすべて埋め合わせるほど食べない場合が多いです。
その結果、1日の摂取カロリーが少なくなり、体脂肪を落としやすくなります。
ただし、朝食を抜くことでお菓子を食べすぎる人、午前中に強いだるさが出る人、朝に筋トレをする人は注意が必要です。
大切なのは、朝食を食べるか抜くかではありません。
自分の生活リズムに合わせて、1日の総摂取カロリー、タンパク質量、活動量、筋トレの質を整えることです。
朝食を抜いた方が楽にカロリーを抑えられる人は、朝食抜きを取り入れても問題ありません。
反対に、朝食を食べた方が食欲や体調をコントロールしやすい人は、無理に抜く必要はありません。
自分に合った方法で、継続できる食事スタイルを作ることが、ダイエット成功の一番のポイントです。
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朝食を食べるべきか、抜くべきかは、その人の生活リズム、空腹感、筋トレの時間、食事内容によって変わります。
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