プロテインを購入するときに、WPC・WPI・WPHという表記を見て、「何が違うのか分からない」と感じたことはありませんか?

さらに、人工甘味料、乳糖、タンパク質含有率、重金属検査など、商品によってアピールされている内容も異なります。

価格も1kgあたり数千円の商品から1万円を超える商品まであり、高いプロテインほど筋肉がつきやすいように感じるかもしれません。

しかし、プロテインの種類や価格だけで、筋肉の増え方が大きく変わるとは限りません。

大切なのは、自分の目的、胃腸との相性、継続しやすさ、予算、安全性を総合的に考えることです。

今回は、WPC・WPI・WPHの違い、人工甘味料の安全性、重金属の問題まで、プロテインの選び方を詳しく解説します。

プロテイン選びの結論

最初に結論をまとめると、次のようになります。

  • WPCを飲んでも胃腸に問題がない人は、基本的にWPCで十分
  • プロテインを飲むとお腹がゴロゴロする人は、WPIを検討する
  • WPIでも胃腸の不快感が出る場合は、WPHを試す選択肢がある
  • 筋肉量や筋力への効果は、WPC・WPI・WPHで大きく変わるとは限らない
  • 人工甘味料は、一般的な摂取量で直ちに危険と判断する必要はない
  • 人工甘味料が気になる場合は、無理に摂取せず不使用の商品を選んでもよい
  • 重金属は必要以上に怖がる必要はないが、第三者機関の検査がある商品は安心材料になる

特別な理由がない場合は、価格が比較的安く、継続しやすいWPCから選べば問題ありません。

プロテインにはどこまでお金をかけるべき?

プロテインにかけられる金額は、人によって異なります。

食費や生活費を抑えなければならない状況であれば、タンパク質を確保できる安価なプロテインを選ぶのも合理的です。

プロテインは、あくまでも不足するタンパク質を補うための食品です。高額な商品を購入しなければ筋肉がつかないわけではありません。

一方で、ある程度予算に余裕がある場合は、次のような部分にお金をかける価値があります。

  • 胃腸への負担の少なさ
  • 乳糖の少なさ
  • 味や飲みやすさ
  • 第三者機関による品質検査
  • 成分表示の分かりやすさ
  • メーカーの情報公開

高いプロテインを選ぶ目的は、筋肉を何倍も増やすことではありません。

胃腸の快適さ、飲みやすさ、品質管理などに追加料金を払うと考えると分かりやすいでしょう。

WPC・WPI・WPHの違い

ホエイプロテインは、製造方法や加工方法によって、主にWPC・WPI・WPHに分けられます。

種類正式名称特徴向いている人
WPCホエイプロテイン・コンセントレート加工度が比較的低く、乳糖や脂質などが残りやすい胃腸に問題がなく、価格を抑えたい人
WPIホエイプロテイン・アイソレートタンパク質以外の成分を多く除去し、乳糖や脂質が少ない乳糖でお腹が不快になりやすい人
WPHホエイプロテイン・ハイドロリセートタンパク質を加水分解し、細かなペプチドにしている消化負担をできるだけ抑えたい人

WPCとは

WPCは、ホエイプロテイン・コンセントレートの略称です。

日本語では、濃縮ホエイタンパク質などと呼ばれます。

WPCはタンパク質以外の成分を完全には取り除いていないため、乳糖、脂質、ミネラルなどが一定量残っています。

WPCという名称だけでは、タンパク質含有率は判断できません。

原料にはWPC34、WPC50、WPC60、WPC75、WPC80などがあり、数字はおおよそのタンパク質含有率を示しています。

一般的なスポーツ用プロテインでは、タンパク質含有率が約80%のWPC80がよく使われます。

WPC80原料の代表的な組成は、タンパク質が約80~82%、乳糖が約4~8%、脂質が約4~8%です。

ただし、実際の商品には香料、甘味料、ココア、果汁粉末などが加えられるため、完成品のタンパク質含有率は原料より低くなります。

WPIとは

WPIは、ホエイプロテイン・アイソレートの略称です。

WPCよりも多くの乳糖や脂質などを取り除き、タンパク質を分離した原料です。

代表的なWPI原料では、タンパク質含有率が約90~92%、乳糖が約0.5~1%、脂質が約0.5~1%となっています。

そのため、乳糖不耐症の人や、WPCを飲むとお腹が張る人にはWPIが適しています。

ただし、WPIにも乳由来のタンパク質は含まれます。

乳糖不耐症と牛乳アレルギーは別のものです。牛乳アレルギーがある人は、乳糖が少ないWPIであっても自己判断で摂取しないようにしてください。

WPHとは

WPHは、ホエイプロテイン・ハイドロリセートの略称です。

タンパク質を酵素などで加水分解し、より小さなペプチドにしたものです。

通常のタンパク質は、胃や小腸でアミノ酸やペプチドに分解されてから吸収されます。

WPHは製造段階で一部が分解されているため、消化や吸収が速くなる可能性があります。

ただし、WPHはタンパク質含有率を示す分類ではありません。

WPCを原料にしたWPHもあれば、WPIを原料にしたWPHもあり、乳糖や脂質の量は商品によって異なります。

WPHは価格が高くなる傾向がありますが、一般的な人が筋肉を増やす目的だけで、必ずWPHを選ぶ必要はありません。

加工度が高いプロテインほど優秀なのか

WPC、WPI、WPHの順に加工工程が増えるため、WPIやWPHの方が優秀だと思われがちです。

しかし、加工度が高いことと、筋肉を増やす効果が高いことは同じではありません。

加工度を高くする主なメリットは、乳糖や脂質などを減らし、胃腸への負担を抑えやすくすることです。

その一方で、WPCにはラクトフェリン、免疫グロブリン、糖鎖を含む成分など、ホエイ由来のさまざまな成分が比較的残りやすいという特徴があります。

WPIではタンパク質以外の成分を多く除去するため、これらの成分も少なくなる場合があります。

ただし、WPCに残っている成分によって、実際の筋肥大効果が明確に高まるとまでは証明されていません。

WPCの方が必ず優れているわけでも、WPIの方が必ず優れているわけでもありません。

WPCとWPIで筋肉量や減量効果は変わる?

プロテインを選ぶ際に最も気になるのは、種類によって筋肉の増え方が変わるのかという点でしょう。

現在の研究では、タンパク質の摂取量やトレーニング条件が同程度であれば、WPC・WPI・WPHの種類だけで、筋肉量、筋力、体脂肪の変化に大きな差が出るとは確認されていません。

2019年に発表されたメタ分析では、WPC、WPI、WPHなどのホエイプロテインとプラセボを比較し、体組成への影響が検討されました。

研究数や参加者数には限界がありますが、WPIだけが明確に優れているという結果ではありませんでした。

2020年に発表された6週間の研究でも、WPC、WPI、プラセボを摂取したグループを比較した結果、筋力や心肺機能の向上に明確なグループ間差は確認されませんでした。

つまり、WPIに変えたからといって、同じトレーニングと食事で筋肉の増加量が急に大きくなるわけではありません。

WPCが衛星細胞を増やした研究もある

筋肉の周辺には、筋線維の成長や修復に関わる衛星細胞があります。

2017年の研究では、若い男性が12週間の筋力トレーニングを行い、WPC、WPH、大豆プロテイン、ロイシン、プラセボを摂取しました。

筋肉量や筋力の増加については、サプリメントによる明確な上乗せ効果は確認されませんでした。

一方で、WPCとWPHを摂取したグループでは、筋肉の衛星細胞数が増加していました。

WPCに残っている何らかの成分が関係した可能性も考えられますが、研究規模は小さく、長期的な筋肥大につながるかは分かっていません。

この結果だけを理由に、胃腸の不調を我慢してWPCを飲み続ける必要はありません。

WPCでお腹を壊す人は、トレーニングや食生活にも悪影響が出るため、WPIへ変更した方が実用的です。

胃腸の不快感でプロテインを選ぶ方法

プロテインを飲んだ後に、次のような症状が出る人がいます。

  • お腹がゴロゴロする
  • ガスが増える
  • 腹部が張る
  • 下痢をする
  • 吐き気や胃もたれを感じる

このような症状が出る場合、乳糖が原因になっている可能性があります。

ただし、原因は乳糖だけではありません。

一度に飲む量、濃さ、甘味料、増粘剤、冷たい水、空腹時の摂取などが影響することもあります。

まずは次の順番で調整してみましょう。

  1. 1回に飲む量を減らす
  2. 水の量を増やして薄める
  3. 一気に飲まず、ゆっくり飲む
  4. WPCからWPIへ変更する
  5. 甘味料や添加物が少ない商品を試す
  6. WPIでも不調が続く場合はWPHや植物性プロテインを検討する

強い腹痛、嘔吐、じんましん、呼吸の違和感などがある場合は、単なる乳糖不耐症ではない可能性があります。摂取を中止し、医療機関へ相談してください。

人工甘味料入りのプロテインは危険?

多くのプロテインには、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロースなどの人工甘味料が使用されています。

人工甘味料が使われる理由は、砂糖を大量に加えず、カロリーや糖質を抑えながら飲みやすい味にするためです。

人工甘味料という言葉だけを見ると、体に悪いイメージを持つ人もいます。

しかし、「人工甘味料が入っているから危険」「天然甘味料だから安全」と単純に判断することはできません。

アスパルテームは発がん性物質なのか

2023年、WHOの専門機関である国際がん研究機関は、アスパルテームをグループ2Bに分類しました。

グループ2Bは、「人に対して発がん性がある可能性がある」という分類です。

ただし、この分類は、その物質ががんを引き起こす可能性に関する証拠の強さを示すものです。

通常の摂取量で、実際にどの程度がんになるリスクがあるかを示した分類ではありません。

国際がん研究機関の分類は、危険性の有無を評価するハザード評価であり、摂取量を含めたリスク評価とは異なります。

同じグループに分類された物質であっても、実際の摂取量や接触量によってリスクは大きく異なります。

同時に評価を行ったJECFAは、アスパルテームの一日許容摂取量を、体重1kgあたり40mgのまま変更しませんでした。

体重70kgの場合は、1日2,800mgが上限の目安です。

WHOの例では、アスパルテームを200~300mg含む飲料であれば、ほかの食品から摂取しない場合でも、1日に約9~14缶以上飲むと許容量を超える計算です。

そのため、一般的な量のプロテインを飲むだけで、直ちに大きな発がんリスクが生じると考える必要はありません。

人工甘味料と腸内細菌の関係

人工甘味料が腸内細菌に影響を与えるという研究もあります。

これまでの研究には動物実験が多く、人間にそのまま当てはめることはできません。

一方、人を対象にした短期間の研究では、サッカリンやスクラロースを摂取した一部の参加者で、腸内細菌の変化と血糖反応への影響が確認されました。

ただし、反応には個人差があり、すべての人に同じ悪影響が出たわけではありません。

長期的な健康への影響や、通常のプロテインに含まれる量で臨床的に問題が生じるかについては、まだ不明な部分があります。

現時点では、人工甘味料をすべて避けなければならないほど、明確な証拠がそろっているとはいえません。

人工甘味料を避けるのも間違いではない

気にせず摂取する選択も、避ける選択も、どちらも間違いではありません。

人工甘味料不使用の商品を選ぶだけで不安が減り、無理なく継続できるのであれば、価格差を払う価値はあります。

ただし、人工甘味料不使用でも、糖質やカロリーが高くなっている商品があります。

「人工甘味料不使用」という表示だけで判断せず、栄養成分表示や原材料も確認しましょう。

なお、WHOは人工甘味料の安全性とは別に、長期的な体重管理を人工甘味料だけに依存しないよう勧告しています。

人工甘味料入りの商品へ置き換えるだけではなく、食事全体の内容や摂取カロリーを整えることが重要です。

プロテインの重金属は気にするべき?

プロテインやサプリメントでは、鉛、カドミウム、ヒ素、水銀などの重金属が話題になることがあります。

原材料となる植物や乳製品には、土壌、水、製造環境などを通して、ごく微量の元素が含まれる可能性があります。

そのため、重金属が検出されたという事実だけで、直ちに健康被害が起こるとは判断できません。

重要なのは、検出された量と、1日に摂取する量、摂取期間です。

急性中毒と慢性中毒の違い

重金属による中毒には、大量に摂取して短期間で症状が出る急性中毒と、少量を長期間摂取することで影響が出る慢性中毒があります。

通常の食品やプロテインで、急性中毒を起こすほど大量の重金属が混入する可能性は高くありません。

一方、プロテインは毎日摂取する人も多いため、長期的な品質管理を確認する意味はあります。

特に鉛は、体内のヘム合成に関わる酵素を阻害し、一定以上の曝露では貧血などにつながる可能性があります。

ただし、過去に市販プロテインから検出された重金属量を用いた2020年のリスク評価では、通常の摂取量によって非発がん性の健康リスクが高まるという結果にはなりませんでした。

検出されたという情報だけを見て、すべてのプロテインが危険だと考える必要はありません。

重金属検査済みの商品を選ぶ

重金属への不安を減らしたい場合は、第三者機関による検査を行っている商品を選びましょう。

確認したい項目は次のとおりです。

  • 鉛、カドミウム、ヒ素、水銀などの検査を行っているか
  • 自社検査だけでなく、外部の検査機関を利用しているか
  • 検査成績書や分析証明書を公開しているか
  • 検査日、対象商品、ロット番号が確認できるか
  • 定期的な検査や抜き取り検査を行っているか
  • メーカーや販売者の連絡先が明記されているか

単に「検査済み」と書かれているだけでは、どの項目を、いつ、どのロットで検査したのか分からない場合があります。

できれば、検査機関名や具体的な分析結果まで確認できる商品を選びましょう。

NSFなどの第三者認証では、表示成分の確認に加え、鉛、カドミウム、ヒ素、水銀などの有害元素や、表示されていない成分の検査が行われます。

競技に出場する人は、重金属だけでなく禁止薬物の混入リスクも考え、スポーツ向けの第三者認証を確認すると安心です。

メーカーをローテーションする必要はある?

同じメーカーの商品を長期間摂取し続けることを避け、複数の商品をローテーションする考え方もあります。

仮に特定の商品に品質上の問題があった場合、摂取期間を短くできるという考え方です。

ただし、メーカーを変えること自体に、健康リスクを下げる明確な科学的根拠があるわけではありません。

品質の高い商品から、検査情報の少ない商品へ変更してしまえば、かえって安心とはいえなくなります。

ローテーションよりも、検査体制、メーカーの信頼性、購入経路、保管状態を優先しましょう。

プロテイン選びで確認したいチェックリスト

実際に商品を購入するときは、次の項目を確認してください。

  1. 1食あたりのタンパク質量
  2. 粉末100gあたりのタンパク質含有率
  3. WPC・WPI・WPHのどれを使用しているか
  4. 乳糖を含むか
  5. 人工甘味料の種類
  6. 糖質と脂質の量
  7. 1食あたりの価格
  8. 味や溶けやすさ
  9. 第三者機関による検査の有無
  10. メーカーや販売者の情報

パッケージに「プロテイン20g配合」と書かれていても、それがタンパク質20gを意味するとは限りません。

1食分の粉末量ではなく、栄養成分表示にあるタンパク質量を確認してください。

また、1kgあたりの価格だけでなく、タンパク質20gを摂取するためにいくらかかるかを比較すると、商品のコストパフォーマンスを判断しやすくなります。

目的別のプロテインの選び方

目的・状態選び方
初めてプロテインを購入する価格と味のバランスがよいWPCから試す
できるだけ安く続けたいWPCを中心に、1食あたりのタンパク質単価を比較する
WPCでお腹がゴロゴロする乳糖が少ないWPIへ変更する
WPIでも胃腸が不快になる飲む量を減らし、WPHや植物性プロテインも検討する
減量中で糖質や脂質を抑えたいWPIを選び、完成品の栄養成分表示も確認する
人工甘味料が気になる人工甘味料不使用の商品を選び、糖質量も確認する
品質や安全性を重視したい第三者検査やロット別の分析証明がある商品を選ぶ
競技へ出場する禁止薬物まで確認するスポーツ向け第三者認証を優先する

まとめ

プロテインを選ぶときに、最も高価な商品や、最も加工度の高い商品を選ぶ必要はありません。

WPCを問題なく飲める人は、基本的にWPCで十分です。

乳糖によってお腹の張りや下痢が起こりやすい人はWPIを選び、WPIでも不快感が続く場合はWPHや植物性プロテインを検討しましょう。

筋肉量や筋力を増やすうえでは、WPC・WPI・WPHの違いよりも、1日に必要なタンパク質を確保し、継続的にトレーニングを行うことの方が重要です。

人工甘味料については、一般的な摂取量で直ちに危険と判断する必要はありません。

ただし、不安を感じながら飲み続ける必要もないため、気になる人は人工甘味料不使用の商品を選んでも問題ありません。

重金属についても過度に不安を感じる必要はありませんが、毎日摂取するものだからこそ、第三者機関の検査やメーカーの情報公開を確認する価値があります。

価格だけで判断せず、自分の胃腸との相性、継続しやすさ、成分、品質管理まで確認し、自分に合ったプロテインを選びましょう。

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